経堂系グルメVol.8

すずらん通りの大人の隠れ家
「灯串坊」

軟骨のコリコリ感がたまらない「ツクネ」は絶品。焼き鳥は特製ミソで。

すずらん通りを桜上水の方に向かって300メートルほど歩くと、左側に行列が見えてくる。最近ブレイク中の「ラーメン英」の豚骨ラーメンを食そうとやってきた若者たちだ。

色とりどりのファッションに身を包む若者が並ぶすぐ側に、対照的な大人の雰囲気の店がある。レトロモダンな和風の佇まい。大人の隠れ家的な雰囲気を醸す「灯串坊」である。

ご主人の上保秀雄さんと奥さまが切り盛りする店内は、優しい間接照明に彩られる和み空間。紀州の備長炭で丹念に焼き上げる焼き鳥などの焼き物は、どれも香ばしく味わい深く、しかも、焼き鳥が1本90円からと、リーズナブルな値段。

オススメしたいのは、メニューの冊子ではなく黒板に書いてあるツクネ(200円)。軟骨のコリコリ感がほどよく残り、噛めばジューシーな旨味が口いっぱいに広がる、まさに絶品。ジャガバター(350円)は、よくあるようなオーブンレンジでチンしたようなものではなく、北海道産の小ぶりのジャガイモを炭火でじっくり焼き上げバターを添えたもの。だから、外はカリカリ中はホクホク。バターとからむと、たまらない。ジャガイモがこんなに美味しい野菜だったかと再認識させてくれる一品だ。肴が良ければ酒もよし。焼酎も日本酒も、こだわりの品ぞろい。

それにしても、灯串坊の良いところは、こだわりの店にありがちなスノッブさや堅苦しさがないところ。気さくな人柄のご夫婦は、初めての人でも必ず「ほっ」とさせてくれる。

意外なことは、長年この道にいるように見えるご主人がサラリーマン経験者だったこと。長らく市場に勤めていたのだが、同じ場所で今川焼などの商売を営んでいた先代が亡くなったのをきっかけに、修行をして、この店を開いたのが10年前なのだという。

「ぼくは生まれも育ちも、このすずらん通りなんだよ。だからさ、店が一つなくなるってことは、街の灯りが一つ消えるってことで、それじゃ寂しいなと。そう思って、この場所で商売を引き継ぐことにしたんだよね」

灯串坊の隠し味は、地元すずらん通りへの愛情なのかも知れない。 (文・経堂敬)

店内
一番人気、灯串坊の名物サラダをご賞味あれ。 ご主人は大の高倉健ファン。店内のサインは自慢です。 すずらん通りにひっそり佇む和みの空間。

「灯串坊(とうせんぼう)」
東京都世田谷区経堂2-8-8
TEL/FAX:03-5450-1122
営業時間 18:00~1:00A.M.  水曜定休 

経堂系グルメ日記

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