人がいる、人がつながる、長屋のような経堂の街がある

2016.9.16

懐かしい味と店:蕎麦と丼の「成田屋」の牛丼

経堂グルメ&カルチャー

どんぶり一杯が250円とか280円とかいう、
驚異の外食産業・低価格化競争が、
すき家、松屋、吉野家の大手牛丼チェーンを中心に巻き起こり、
それに釣られてか、麺類、粉もの、居酒屋etc.
外食チェーンで提供されるメニューの値段がどんどん下がっている。

私が暮らす世田谷区の経堂でも、
駅前にできた巨大なマクドナルドが、
街の誰もが経営安泰と思っていた人気ファストフード店を閉鎖に追い込み、
現在は、松屋と東京チカラ飯が、280円の牛丼を主力兵器に、
農大通りの坂の上と下の陣地から睨み合っている。

まさにマスコミが言うような「外食戦争」だ。

が、テレビを消して、スマホの電源も消して、
身の回りを見渡してみると、そんな戦場のまっただ中に、
チェーン店ではない店で「普通の牛丼」が食える。

そんな飲食店は、まさに「普通の聖地」だと思う。

そんな「普通の牛丼」を食べ歩く巡礼、その1は、

経堂すずらん通りを駅前の入口から1キロほどの「成田屋」さん。
ここは午前中の仕入れなどを終えた経堂の飲食関係者が、不思議と集まる店。
住所でいうと、世田谷区桜上水2−1−4
木曜日が定休で、11時〜16時まで。
週末の土・日は、11時〜15時/17時〜20時と夜営業がある。
やさしそうな旦那さんと元気な奥さん。年配ご夫婦のお店。

ここに「牛丼」(650円)があるのだ。

昨年近くに「すき家」ができた。
近くというよりも激近と言った方がいい。
写真を見てください(笑)

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そんな立地の普通の牛丼。

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ぎっしり飯が詰まった丼に、すき焼き風の具がぎっしり。
吉野屋の大盛りよりもボリューム感があり、米がウマい、
肉がウマい、ネギの表面とろとろ芯に残るシャッキリ感もいい。
なめこと豆腐の味噌汁、漬け物がついて、650円は、
チェーン店の牛丼屋で、大盛り、味噌汁、漬け物のオプションを付けると、
たいして違わない値段なのではないか。

どーんとアップにしてみました。わかる人にはわかるでしょ♩
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100円や10円の安い高いは置いといて、
チェーン店にないのは、この「普通」感に込められた安心と自由。

これは、裸の王様ではないが、
感じる人にしか感じられない特別なセンスなのかも知れないが。

この店のスゴイところは、4、50種類の品数を誇りながら、
昼間の混み合う時でさえ、それほど待たずに注文したものが出てくるところ。

今日も混み合っていたけど3分も待たずに牛丼が出てきた。
奥さんが牛丼を私の目の前に置きながら言った言葉。

「お待たせしてスミマセンね」

全く待っていないのに、ここの奥さんは、いつもこう言うのである。

これも「普通」の素晴らしさ。

牛丼は素晴らしくウマかった!

スローコメディ広告社経堂系ドットコム
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須田泰成

コメディライター/プロデューサー/著述家/クリエーティブディレクター。2000年、伝説の地域寄席・経堂落語会の代表世話人を勤めた故・栃木要三氏のラーメンからから亭の経営不振を立て直すため、個人飲食店を応援する経堂系ドットコムをスタート。2009年さばのゆオープン、落語、トーク、全国の地域イベント等で知られるように。東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など。
最新刊は、木の屋石巻水産の復興ノンフィクション本『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda

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