人がいる、人がつながる、長屋のような経堂の街がある

2019.3.27

通い続けると人生がじわり変わる落語会のはなし

コラム+物語・経堂喧噪論編集長のゆるり経堂日記

先々週、震災前からの常連さんが
「さばのゆと出会って人生が変わった」と、
カウンターでボソッと語るのを聞いた。
そして昨夜は、
15坪の店で小さなイベントを繰り返し、
同じ場所で定期的に続けると、
当初想像もできなかったレベルの
多様で網の目のような人のつながりが生まれ、
さらにその多数の個々のつながりが、
それぞれの結節点から
新たな出会いや交友、様々な豊かさを生む。
そんなことを改めて実感した一日だった。
もうすぐ9年になる「桂吉坊ひとり会」は、
この会をきっかけに
文楽、歌舞伎、日本舞踊、浪曲など、
いろんな古典芸能に興味が広がった人が多い。

それだけでなく、
終演後に顔見知りになり、
一緒に寄席や芝居に行くようになったり、
旅や酒場に行くようになったり、
人の輪も広がった人も多い。
気がついたら経堂の街に顔なじみの店ができ、
それぞれの店のカウンターで知り合った人たちと
さらなる交流が生まれ日々が楽しくなったという人も実に多い。
繰り返し通えば人生が充実するという会。
21世紀に長屋のような人付き合いが息づく
経堂の街のコミュニティのチカラも大きい。
もちろん一流の芸のチカラあってこそ。
この経堂モデルのことを本にまとめたいなー。

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須田泰成

コメディライター/プロデューサー/著述家/クリエーティブディレクター。2000年、伝説の地域寄席・経堂落語会の代表世話人を勤めた故・栃木要三氏のラーメンからから亭の経営不振を立て直すため、個人飲食店を応援する経堂系ドットコムをスタート。2009年さばのゆオープン、落語、トーク、全国の地域イベント等で知られるように。東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など。
最新刊は、木の屋石巻水産の復興ノンフィクション本『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda

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