人がいる、人がつながる、長屋のような経堂の街がある

2019.7.22

高知の産地とのつながりで消費税10%(或いはもっと)に備える話。

全国の産地とのコラボコラム+物語・経堂喧噪論編集長のゆるり経堂日記

「須田さん、この刺身ちょっと食べてみてよ〜」
と出されたのは(実際の見た目は)桜色に近い赤身の分厚い刺身。これ実は三浦あたりだとそれほど美味くないし、見向きもされない◯◯◯なんだけど、高知の室戸はモノがいいのと、食べる文化があるらしいのよ」

私が密かに「らかん切り」と呼ぶ厚みのある刺身、一枚いただく。
(メジではありません)

「もっちりして美味いですね。味わい淡白ですけど、フルーツみたいな爽やかな酸味もあり。女性にウケそうな感じです。揚がってからの処理が良いんですね」

「そう。聞いてみると漁場が港から近いそうで。昨日定置(網)にかかったのが冷蔵で今日14時にきた。で、これがいま一年で一番脂がのってない時期のクォリティで、秋口から脂がのりはじめる」

「うわっ、それは9月あたりから楽しみですね」

「そうなんだよ。それでもう一ついいのは、この◯◯、東京や大阪では値がつかない魚で、地元でしか流通してないって魚屋の社長が言っててね。とりあえず半身8キロ買ったんだけど安いのよ」

ここには書かないが、値段を聞いて驚いた。

「マジですか!これ、ランチの刺身にちょっと盛り多めにしたら、みんな喜びますね」

「もちろんやってる。みんな感動して、こんなにお刺身たっぷりでいいんですか?って、言ってくれるお客さんもいる。一見さんがリピートする」

「それは、秋、冬になると、相当楽しみですね」

「地方には、まだまだ知らないものがあるねぇ」

昨夜も経堂で38年ご商売を続ける「らかん茶屋」の大将と全国の産地からの仕入れ談義。

「消費税10%、いや、この先20%まで行ったらどうする?」という話は、当然2014年(5%→8%に上がった年)以前からしている。

これから財布の紐がさらにかたくなるお客さまに「えっ!この値段でいいんですか!?しかも美味しい!」と感動していただきつつ、お店はこれまでの賑わいをキープして売上げを落とさず利益を守り、つながる全国の生産者さんにもお金を回す。

そのために毎日のように、こんな話を近隣のお店の皆さんとしていたりします。

できれば右肩上がりで行きたいところ。

昨日の選挙は商店街の個人店に優しい政策を実行してくれそうな候補者と政党に票を投じたんですけどね。

経堂の街の個人飲食店の良い賑わいが続くことを祈りつつ。

秋にはまた高知など仕入れツアーを大将と予定しています。

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須田泰成

コメディライター/プロデューサー/著述家/クリエーティブディレクター。2000年、伝説の地域寄席・経堂落語会の代表世話人を勤めた故・栃木要三氏のラーメンからから亭の経営不振を立て直すため、個人飲食店を応援する経堂系ドットコムをスタート。2009年さばのゆオープン、落語、トーク、全国の地域イベント等で知られるように。東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など。
最新刊は、木の屋石巻水産の復興ノンフィクション本『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda

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