経堂のファーストフード その2
ハンバーガーを食べながら、ジャズの生演奏を聴く。

ファースト・フードとしてのハンバーガーは、1948年、アメリカ西海岸・南カルフォルニアのサンバーナディーノという退屈な郊外住宅地で、マクドナルド兄弟が従来経営していた手作りハンバーガーの店を工場の組み立てラインの原理を利用して均質なハンバーガーを大量生産するセルフサービスの店にリニューアルしたことに始まります。
この1948年のサンバーナディーノからは、退屈な街に飽きたバイク野郎たちが結成した「ヘルズエンジェルズ」も出現しています。
「ファースト・フード」と「ヘルズ・エンジェルズ」。
大量生産品と暴走バイカーズクラブ。
そんな両極端のものが同じ年に同じ町から生まれたことは非常に興味深い事実です。
さて、小田急線・経堂駅から西へ徒歩4分ほどの経堂西通りに、ハンバーガーをパクつきながら、音楽の生演奏や様々なパフォーマンスを見ることができるお店、マレットがあります。

ここのハンバーガーは、マスター平田さんの自家製。
素材を吟味した粗挽き肉+タマネギ+卵+小麦粉+各種スパイスなどを丹念に手ごねして、じっくりフライパンで焼き上げた出来立てをシャキっと新鮮なタマネギ+トマト+レタスと共に自家製のパンにはさまれて出来上がり。

大きな口を開けて食べてみると、ひとつひとつの具材からジュワッと美味しい旨味と香りが立ち上ってきて、噛めば噛むほど幸せな気分が増していきます。チェーン店の柔らかいハンバーガーにはない、しっかりとした歯ごたえから、平田さんの心意気が伝わってきます。

マレットは、良心的なライヴ・スポットとしても有名です。
月に2回は、ジャズ、クラシック、民族音楽、邦楽などのライヴ演奏が行われる他、アートの教室や各種講演会も人気です。
いまや、ハンバーガーは、地域の文化・経済やコミュニティを大きく変質させるグローバリズムの象徴のような存在になってしまいましたが、このマレットでは、そんなハンバーガーと楽しげな地域の活動が共存しているのです。


