2005.11.3
味よし人よし雰囲気よしの赤提灯
「太郎」
すずらん通りを入ってすぐ、金物屋さんの向かいにあるビルの通路をのぞき込むと、右手奥に年季の入った大きな赤提灯が見える。この赤提灯こそ、20年以上も経堂人に愛されてきた居酒屋・太郎のシンボル。
太郎のお父さん、満留芳廣さんは鹿児島出身。薩摩地鶏を使った“さつまあげ”や“地鶏刺身”“地鶏の唐揚げ”“きびなご刺身”などの食べ物と鹿児島・財宝温泉の温泉水を使った芋焼酎・財宝など、郷土の酒と肴を揃えています。が、メニューのバリエーションは実に幅広く、毎日、朝から仕入れに走り、市場から新鮮な魚を調達。刺身や焼き魚は、毎日“その日のいいもの”が用意されています。
野菜も、おひたしや炒め物、季節の天ぷらなど。うれしいのは、どれも値段が高くて500円ほど、ということ。卵を4つも使う大きなニラ玉(300円)も名物の1つで、妙に芋焼酎に合うから不思議。別格オムライス(800円)は、ゆうに3人前くらいのボリューム。
お父さんと一緒に店を引き立てるのは、お母さんこと満留礼子さん。ご出身は、青森県だから、このご夫婦は、生まれた土地が千数百キロも離れたカップルというわけ。そんなスケールの大きさとお二人の大らかな人柄のせいか、この店に集う人の幅は、
経堂のどの店にも負けないほど幅広い!お昼の3時頃から飲みはじめるのは、朝が早い園芸屋さんやご隠居さんたち。6時をまわると地元の会社に勤めるサラリーマンの方々がやってきて、8時〜9時になると、経堂周辺に住む人たちが太郎に帰ってくるパターン。
しかし、経堂以外から、遠い人は、片道1時間半くらい掛かるところから通ってくる人がいるのも太郎ならでは。職業も、芸能・マスコミ関係、飲食関係、芸術家、公務員、医療関係などなど、ありとあらゆる種類の人が、気さくな雰囲気と美味い酒と肴に酔いにくる。有名人が、ごくごく自然に一般の客として飲んでいるのもこの店らしい。2、3度通ううちに、顔見知りになった人と釣りやゴルフの約束をしたりするように親しくなるのも、店の空気のなせる技かもしれない。
ご夫婦の楽しみは、温泉巡り。3人の子供が巣立った今は、時々、全国の温泉に出かけて息抜きをするという。「うちの店も温泉みたいなものなんです。仕事で疲れた後は、うちで美味しいものを食べて飲んで喋ってリラックスしてください」とは、お父さんの言葉。経堂の憩い系酒場、太郎に是非! (文・経堂敬)
赤提灯「太郎」
- 住 所
- 東京都世田谷区宮坂3-12-4 ドム経堂