季織亭名物のつけ麺

評判の理由は、オーナーの川名さんの素材に対する徹底したこだわり。「惣菜とお弁当の店としてスタートして10年を越えましたが、お米の一粒から肉・魚・野菜の素材１つ１つ妥協せずにやってきました」と語る川名さん。

お弁当を彩るおかずは、良好な環境で生育した肉や魚、有機栽培の旬の野菜など、自然の恵みがギュッと詰まった素材を活かしたものばかり。店頭で注文してから握ってくれる“おにぎり”を、出張のついでに買いにくる関西のビジネスマンがいるエピソードからも、その味わいが想像できます。

そんな“こだわり”は、夜の季織亭にも横溢しています。セピア色の灯りとジャズの音色に心地よく満たされた店内は、洒落た和風のダイニング・バーの雰囲気。

人気は、オーナーの川名さん曰く「美味くて身体にいいラーメン」。スープにも麺にも具にもこだわり抜いた手打ちラーメンを手打ち蕎麦のように位置づけてひと時を過ごすのが夜の季織亭流かもしれません。

ラーメンだけを食べて帰る人もいますが、酒とつまみが、リーズナブルな値段で揃っています。日本酒と焼酎は、通も納得の銘柄が常に入っています。しかも、値段が500円。都心で飲むと倍はする酒を安心して飲めるだけでなく、充実＆満足の“つまみ”のラインナップには総菜専門店の実力が大発揮。

とろけるチャーシュー＆半熟煮卵＆メンマの盛り合わせ（500円）。有機野菜の煮付けなどの各種お惣菜が、200円から。他に、珍味イカワタが詰まった日本酒にも焼酎にもピッタリのイカの丸焼き（300円）、プリプリした身に太陽の恵みと熟成された味がぎっしり詰まったハタハタの一夜干し（200円）、稚鮎（200円）などが日替わりで登場します。

そんな酒とつまみでホロ酔いになったところを、ラーメンで締めるのが、このお店の醍醐味という常連さんは少なくありません。

川名さんは、もとは、某大手生命会社に勤めていたという脱サラ派。

「ちょうど退社したのが、あの業界の景気がウナギのぼりに良くなっていたバブルの前だったんです。そりゃ、みんなにバカ呼ばわりされましたよ。なんで生活の安定を捨てて、独立なんかするんだってね」

入手が難しいというシャモのラーメンを食しながら、話を伺っていると、そんな川名さんのチャレンジ精神が、熟成されて、この店の味になっていると感じました。2005年の５月から二階も店舗にして営業スタイルを進化させるそう。居酒屋メニューも強化するというから、ますます目が離せません。

夜のすずらん通りに浮かぶ、木製の看板。

つまみが多すぎて選べない方は、とりあえずつまみセット（５００円）を。

プリプリした身に太陽の恵みと熟成された味がぎっしり詰まったハタハタの一夜干し（200円）