2012.12.18
経堂の義理と人情の赤提灯「太郎」の噺
経堂のおもしろい
「かぞく店」と「ふうふ店」の噺を書きます。
青森の若者をテーマにした本を読んでいて、
思い出したことがあった。
吉田類さんも大好きな経堂の赤提灯「太郎」。
12、3年前、週に2、3回、
夕方に赤坂の放送局の仕事が終わってから通っていた店。
(ここでどんなに素敵な出会いがあったか!
もちろん今でも、ペースは落ちましたが行ってます)
季節は4月、
ある新卒の若者が飲食店向けの食材の配達で経堂を回っていた。
太郎にも調味料か何かを配達していた。
あきらかに仕事に慣れていない感じと、朝から働いている感じで、
いつも疲れた顔をしていた。
太郎に品物を届けて帰ろうとすると、
「そこの若者ちょっと待ちなさい」と、立ち止まらせて、
小さなサボンくらいある大きなおにぎりを握って「食べなさい」と。
いつもやってたなー。
しかも当時の太郎は、毎日4時から満席の店である。
(いまも人気店ですが)
料理人は、おとうさん一人で。
雨あれらと降る注文を一人でさばいて、
しかも、焼鳥は、肉を切って串に刺すところから。
揚げ物は、タネを握って、揚げ粉をつけるところから。
ちなみに猪の串焼きです。
常時20数名のお客の食欲を満たし続けながらのおにぎりは、
スゴいと思った。
「毎日スゴイですね」と、声をかけると、
「あのこね。かあちゃんと同じなのよ。くにが同じ。
青森青森。あいさつ聞いただけで一発でわかった」と。
(太郎のお父さんのイントネーションで読んでみて♪)
そういうお父さんは、鹿児島の伊集院出身。
ケンカをすると青森の言葉と鹿児島の言葉で通じないそうだが、
若い頃、旅先の青森でおかあさんに一目惚れ。
そのまま当時住んでいた中野へ。
その後、経堂で「太郎」を開店。
そんな太郎さんのご長男が、約10年の飲食修行を経て
吉祥寺に出したのが「魚秀」というお店。
店内にドカーンと鎮座するのは、青森の「ねぶた」。
吉祥寺の「魚秀」は、
こんなご時世にも関わらず、連日大賑わい。
こちらです。
理由はないけど、こういう店は、護られている気がするんですよね。
話がちょっとそれましたが、
おにぎりの若者は、その後、仕事に慣れ、
一度、カウンターでおとなしくテレビを見ながら飲んでたなー。
そして「太郎」は、こんな店
義理と人情のある飲食店の話でした。
by 経堂系ドットコム
経堂には、こんな実話が、南シナ海の埋蔵原油くらい埋まってます。