人がいる、人がつながる、長屋のような経堂の街がある

2015.12.31

経堂の人気たい焼き店・小倉庵のストーリーが ニッポン放送『八木亜希子 LOVE & MELODY』に登場。

コラム+物語・経堂喧噪論

経堂の人気たい焼き店・小倉庵のストーリーが、
2016年1月9日
ニッポン放送の『八木亜希子 LOVE & MELODY』
( 朝8時半〜10時50分放送。
 番組HPは、こちらです(←クリック) )の
『10時のグッとストーリー』で、朗読されます。

若さゆえ、売れないたい焼き店を押しつけられた青年が、
途方に暮れフラッと入った焼き鳥店で経堂の人たちに救われ、
創意工夫とお客さんの応援で、
行列のできる人気店にするまでのストーリー。
鳥へいさんの名前も出てくるそうです。

◎今回の放送のもとになった
 2011年2月の経堂系ブログ記事のコピペです。
    ↓

一つの地域の個人店に通い続けていると、
映画やドラマに負けない物語に遭遇することが多い。
というか、こっちの方が、
2時間や24時間ではおさまらない、リアルな本物の劇空間。

本日ご紹介するドラマのはじまりは、
猛暑だった昨年2010年の8月。
経堂西通りの入口にあった、たこ焼き&たい焼き「夢屋」を
一人の若者がうっかり引き継いでしまったことから。

紀州和歌山出身の大東くん。
都の西北を中退して元は芸人を目指していたが、
焼き鳥屋さんで修行した経験を活かして、
たい焼き屋で頑張ろうと一念発起しての小さな起業だった。

店を探していた時に紹介されたのが「夢屋」。
繁盛店だからという説明を現地を実際に確かめることなく
うっかり信用して契約してしまった。

が、数年前から営業していた「夢屋」は、
経堂西通り辺りの人間なら誰もが知っている
お客が寄りつかない店だった。
「泳げたいやきくん」の歌が小さなラジカセから流れ続ける
センスのない店。
店のスタッフと地域との交流もない不思議な店だった。

当時の記事がこちらにあります(←クリック)

「夢屋」を引き継いですぐ、
人通りが少ない通りの
まったく売れない店だと気づいた大東くんは一瞬途方にくれた。
聞いていた話と全然違う。どうしたらいいのか?

崖っぷちのピンチ、

経堂も全く見ず知らずの土地だった。

途方にくれて、店が終わってから、なんとなく入ったのが、
経堂一のダメ親父を自称する長谷川一平さんの店鳥へい(←クリック)
焼き鳥と釜飯のおいしいお店。

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そこで悩みを打ち明けると、噂が広がり、
近所のお店の人間や飲み助たちが何とかしたいと話すようになった。

きはちの常連さんのアパレル会社の社長さんは、
毎日のように店に立ち寄るようになった。
ご近所の多くの商店主が、大丈夫かなあの店?と気にすることしきり。

そんな中、大東くんも経堂なら何とかなるんじゃないかと思うようになり、
忙しい合間に他の店に挨拶に顔を出したりするようになった。

秋が深まった頃、ある店で一冊の「たい焼き本」に遭遇。

これが、この本。

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時川真一さんの「東京あんこ案内」なのだった。

東京の一流のたい焼きを紹介したこの本が、大東くんの運命を変えた。

閃いたのが、
厳選された豆を買って、あんこを手作りしてみたいということだった。

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それまでは業務用のあんこを使っていたのだった。

あんこの研究を始めて、納得のいく味ができた時、
店の名前を小倉庵に変えた。

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元々、芸人で、焼き鳥屋でも修行していたため、売り声には自信がある。
通りを往く人にどんどん声をかけ、どんどん試食をしてもらった。

すると年末あたりから、来る人が途切れない街のたい焼き屋さんになっていた。
いまは2人で何とかやっていけるようになったとのこと。

元気に街往く人々に声をかけながらの営業。

あんこは全て手作り。

ぐつぐつ店頭で煮込まれるあんこ。
いい香りがあたりに漂う。

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たこ焼きもいける。

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街のおっせかいがセーフティー・ネットになったり、
実際に人を救うこともあるということ。

ハズレクジを引いた若者が
経堂西通りの焼き鳥屋のカウンターで命拾いをした話でした。

実は、
きっかけとなった鳥へいの長谷川一平さんも、
1970年代の半ば、30代半ばの頃、
大手服飾メーカーの営業マンだった人生に行き詰まりを感じ、
当時住んでいた桜上水の行きつけの焼き鳥屋のカウンターで、
悩んで人生終わりだよみたいなことを愚痴っていた時、
その店のマスターに、
「そんなこと言うんだったら、オレが銀座の鳥銀を紹介してやるから、
 修行して出直したらどうだい?」と言われたのが、
店を始めたきっかけ。

個人店の魅力は、人の顔が見えるところで。
人の顔が見えるからこそ、人の会話があり、
様々なストーリーが生まれる可能性がある。
そんな個人店が複数あって、いろんな人のつながりが、
多様に絡み合う「地域」は、やはり魅力がある地域だと。

個人店のカウンターをきっかけに
生まれるストーリーは、少なくないように思います。

◎そして、こちらが現在(2015年12月)の小倉庵さん。
日替わりメニューも魅力的な人気店。
行列のできている時も多いですよね。

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小倉庵

お店の紹介記事はこちら
ジャンル
たい焼き+たこ焼き
住 所
東京都世田谷区経堂2丁目14−2
電話番号
03-3439-0088
営業時間
11時半〜19時半
雨天の日はお休みするのことも
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須田泰成

コメディライター/プロデューサー/著述家/クリエーティブディレクター。2000年、伝説の地域寄席・経堂落語会の代表世話人を勤めた故・栃木要三氏のラーメンからから亭の経営不振を立て直すため、個人飲食店を応援する経堂系ドットコムをスタート。2009年さばのゆオープン、落語、トーク、全国の地域イベント等で知られるように。東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など。
最新刊は、木の屋石巻水産の復興ノンフィクション本『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda

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