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2019.1.4

経堂大学・講義の記録〈2018.12.24 太田旭さん〉

経堂大学

◎12月24日(月)
「太田旭さんに聞く〈世界のこどもと向き合う〉話」

☆太田旭(Asahi Ota)先生
 社会活動家/国際栄養士


途上国へ進出したい日本企業向けコンサルティング、途上国での栄養改善・人材育成事業を担当する栄養士です。2004年~出身地である宮城県にて在宅型ホスピス、認可保育園、離島での僻地医療、災害支援(東日本大震災)に従事した。2012年青年海外協力隊としてグアテマラに派遣。2015年アライアンス・フォーラム財団へ入団し、途上国での栄養不良改善・貧困削減を目指して活動中。2018年秋より任意団体オルスタを設立、子ども食堂や子育て支援事業を展開、日本の飲食業界をもっと子どもに優しく、子育てしやすい社会の実現に挑戦している。

(講義の様子)
アフリカのザンビアの貧困地域でこどもたちの栄養改善をテーマに活動する
太田旭さんに聞く〈世界の子供に向き合う〉話。とても深刻な話でありながら、
聞いていて、目からウロコの内容と、
〈食べる〉ということの重要性を改めて思い知らされました。
食が不十分、特に著しい栄養の偏りのために、
様々な後天的障害などのハンデキャップを背負ってしまい、
健康的に成長できない子どもたちが少なくないという現実。
明日を担う子どもたちが健やかに育たなければ、
社会の行く末にも不安が生まれるという悪循環。
しかし、親の世代が子どもたちの発育に必要な栄養に関する知識がなく、
しかも、必要な栄養素を含む庶民の知恵としての伝統食の文化がない。
疾病など日常の諸問題に関して前近代的な祈祷に頼る人がまだ多い。
電気などのインフラが不十分で、公衆衛生の概念や知識が行き渡らず、医療も貧困、
女性やこどもの地位が低く、極めて活動が難しい地域。そこで具体的に動くことで、
可能性の芽を植えていく実話には心動かされるものがありました。
新年に四年目となる経堂こども文化食堂の活動のヒントもたくさんいただきました。
親睦会は、斜向かい徒歩38秒のきはちさん。
焼きたてのクリスマスチキンをいただきながら、
参加された皆さんが打ち解けていく酔い夜でもありました。
そうそう。山根さんの和風キッシュ、
木の屋さんの金華さば味噌煮缶+アルファー食品さんの安心米の
美味しい非常食コンビなど、講義前のフードも充実でした。




以下は、太田旭さんFacebook新年の挨拶より。

■2018年は災害の多い年でした。
私自身も2011年に東日本大震災で被災をした際、自然の偉大さ以上に抵抗のできなさを痛感致しました。昨今のニュースを見ていると、気候変動にどこまで耐えられるのか、まるで人類VS地球による我慢大会をしているような感覚に陥らずにはいられませんでした。そんな中、世界では、9人に1人にあたる8億2100万人が、今も十分な食事ができずに飢えている状況にあります。この数字に関して驚くことは、その“飢え”が、単純に食料不足によるものではないということ。世界には人口75億人が十分に食べていけるだけの食料があります。それにも関わらず、飢餓に苦しむ人が今もたくさんいるのです。これに対する改善のためのアプローチ方法は多種多様、個人レベル・会社レベル・地方行政レベル別にも必ず貢献できる策はあると私は確信し、そのために残りの人生を生きて参りたいと思っております。
■飢えている人々の約70%は、アジアやアフリカに住む小規模農家の人々。
農作物の栽培は天候や季節に大きく影響を受けます。それにより食料の生産が制限されてしまった結果、低収穫もしくは、無収穫に陥る期間が増えてきてしまい、これが飢餓の原因になっていると言われています。ここでフードロスについて少し触れますが、世界では毎年食べるために作らされている食料の3分の1が捨てられていることをご存知ですか。日本は食料自給率が低いため60%以上の食べ物をわざわざ海外から輸入しているにも関わらず、世界の総食糧援助の倍量以上の食べ物を廃棄しています。そして、フードロスが与える影響のひとつに地球環境への負荷が挙げられます。食料を廃棄することで排出される温室効果ガスの量は、世界の総量の約8%を締めるそうです。これにより、気温や降水量などの気候変動、干ばつや洪水などの異常気象が起こります。そして食料生産環境はさらに厳しくなり、その影響を大きく受けるのはアジアやアフリカなどに住む“飢え”に苦しむ小規模農家の人々なのです。
■私が所属するアライアンス・フォーラム財団は、《世界平和》を堂々と目指せる組織です。
代表の原丈人は国連経済社会理事会の特別諮問資格を持つ合衆国財団の代表を務めております。今世紀末には40億人の人口になる見込みのアフリカ各地にて、代表は今後も次々と起きるであろう紛争の結果、難民が全地球にあふれ出し世界中で混乱・文明の後退が起こってしまうのではと、強い危機感をいだいております。これでは私たちの理念である《教育を受けた健康な中間層》が非常に育ちにくいからです。
■人の健康増進、ひいては豊かな社会の実現を目標に奮闘して参りました。
2012年からは共存範囲を物理的にも世界へ広げ、現在はアフリカやアジアの貧困地域にて栄養改善事業を行っています。その事業の一環で、栄養教育を軸に教育者に向けた教育実習プログラムを構築し実践し続け、2018年には2年間でザンビア共和国の事業地の村にて5歳以下の子どもの栄養不良率を半減することに成功いたしました。今後も多様化する人々の住まいである地球にて、人々のみならず地球全体が健康で生きやすい社会を作ることに情熱を注いで参りたいです。個人レベルでは、誰かや何かの支配下にある発展を目指すのではなく、自分らしさが炸裂し溢れる社会になることを。
■プライベート
子育て支援を行う団体を立ち上げ子ども食堂事業などをスタート。また、昨年は「国際栄養」というテーマでのコラム連載に加え、「真のSDGs」「女性の幸福」に関するセミナーや講演の実施、大学での非常勤講師のお仕事などをさせていただきました。こんな私ではございますが、支えてくださる沢山の方々のご協力と共に、私の実体験を“資源”と捉えて下さる尊い方々にどのように私をご活用いただけるのか、愛する人にどのようにこの思いを表現したら伝わるのか、私自身の生き方を模索する1年となりました。2019年はより一層のチャレンジで邁進していく所存です。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
★弊財団代表の最新記事:<原丈人> 会社は「社会の公器」すべての社中に適正な富の分配を 
★子ども食堂の最新記事:<子どものあした> 誰でもおいで!オルスタ子ども食堂。

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須田泰成

コメディライター/プロデューサー/著述家/クリエーティブディレクター。2000年、伝説の地域寄席・経堂落語会の代表世話人を勤めた故・栃木要三氏のラーメンからから亭の経営不振を立て直すため、個人飲食店を応援する経堂系ドットコムをスタート。2009年さばのゆオープン、落語、トーク、全国の地域イベント等で知られるように。東日本大震災の津波で流された石巻の缶詰工場・木の屋石巻水産の泥まみれの缶詰を洗って売るプロジェクトは、さばのゆから全国に広まり、約27万個を販売。工場再建のきっかけとなるなど、ソーシャルな活動も多い。本業は、著述、映像・WEB制作、各種プロデュース。著書に『モンティパイソン大全』(洋泉社)、脚本・シリーズ構成に『ベイビー・フィリックス』(NHK),
『スーパー人形劇ドラムカンナの冒険』(NHK)など。
最新刊は、木の屋石巻水産の復興ノンフィクション本『蘇るサバ缶〜震災と希望と人情商店街〜』(廣済堂出版)
Twitter:@yasunarisuda
facebook:https://www.facebook.com/yasunarisuda

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